令和6年度前期草の根・人間の安全保障無償資金協力合同贈与契約署名式

令和6年10月31日


10月31日、遠藤和也駐フィリピン大使は、今年度前期に承認された草の根・人間の安全保障無償資金協力*12案件、供与金額合計223,997米ドル(約3,113万円*2)について、各被供与団体との贈与契約書に署名しました。式典には教育省(DepEd)のフアン・エドガルド・アンガラ大臣及び社会福祉開発省(DSWD)のエメリン・アグリパイ・ビリヤール次官が出席しました。
 


 

遠藤大使はスピーチの中で、日本とフィリピンが、相互に尊重しつつ共通の目標に向かい揺るぎない協力関係を構築してきたこと、また、同資金協力は小規模でありながらも、地域社会の具体的なニーズに対応することが可能であるため、持続的かつ包括的な発展を促進し、次世代に力を与えることができるスキームであることを述べました。
 


署名された各案件の概要は以下の通りです。
 

1. 「タルラック州プラ町マウンギブ初等学校校舎建設計画」

  • 被供与団体: プラ町
  • 供与資金額: 78,267米ドル
  • 案件概要: 同校の中央校舎は古い木造建物であり、主要構造部にはシロアリによる深刻な浸食被害や雨漏りが確認されている上、コンクリートの床板にもひび割れや陥没している箇所が随所にあり、建物の倒壊・崩落等の危険性が懸念されています。また、トイレについてもPTAが自ら設置した簡易なものしかなく、衛生面の問題も生じています。本案件では、同中央校舎を解体の上、1棟6教室及びトイレ6室を新たに建設し、同校児童及び教員が安全かつ衛生的に学習できる環境を整備することで、同町の初等教育の質の向上を目指します。
 

 

2. 「セブ市における児童・青少年福祉施設建設計画」

  • 被供与団体: ビドゥリシウ財団
  • 供与資金額: 145,730米ドル
  • 案件概要: 同財団は、セブ市及びマンダウエ市に住む低所得層、特に性・薬物犯罪に巻き込まれた児童・青少年及びその家族に対し、心理ケアや保健教育、職業訓練の機会を提供しています。同財団が所有する施設は老朽化が激しく、安全上の理由から活動に使用できない状態であるため、現在
 

 

は商業施設や町中の食堂等の外部施設を利用して活動を行っています。しかし、一般客の出入りが頻繁にある外部施設での活動では、利用者のプライバシーが十分に保護されない上、犯罪組織関係者等と遭遇する可能性もあり、活動場所として適切な環境ではありません。本案件では、同財団の老朽化した施設を解体の上、1棟3階建ての新施設を建設することにより、犯罪被害を受けた、または被害を受ける可能性が高い、貧困層の児童・青少年に対し、安全かつ適切な環境下で学校・社会復帰支援の実施が可能となります。
 

*1 草の根・人間の安全保障無償資金協力は、「人間の安全保障」の理念に基づき、開発途上国における経済社会開発を目的とし、地域住民に直接裨益する、比較的小規模な事業のために必要な資金を供与するものです。フィリピンでは1989年から現在に至るまでの間に計564件(上記2件を含む)の事業を実施しています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本件実施は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 

*2 1米ドル=139円(令和6年度支出官レート)