草の根・人間の安全保障無償資金協力 「マニラ首都圏パラニャーケ市眼科医療機器整備計画」引渡式
令和6年11月20日


11月19日、パラニャーケ市に所在する聖母平和ミッション基金病院において、令和5年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「マニラ首都圏パラニャーケ市眼科医療機器整備計画」の引渡式が開催され、当館より西村時子二等書記官が出席しました。同式典には、被供与団体である聖母平和ミッション基金(以下、FOLPMI)よりエヴァ・フィデラ・マアモ理事、エドウィン・オリバレス下院議員、エリック・オリバレス・パラニャーケ市長、その他被供与団体及び自治体関係者が出席しました。

フィリピンに存在する白内障患者約111万人のうち、手術を必要とする病状にありながら治療を受けていない患者が約33万人いると推定されており、その多くは貧困層に属します。これらの患者が治療を受けられないまま失明に至った場合、失業や社会的孤立による更なる貧困化、ひいては子供が学校に通えなくなり、子供が労働を強いられる等、更なる問題を抱えることとなります。
本事業は「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるラモン・マグサイサイ賞を2022年に受賞した服部匡志医師と、1997年に同じく同賞を受賞したマアモ理事との協力により実現しました。マニラ首都圏の貧困層を対象に眼科医療サービスを提供しているFOLPMIに110,020米ドル(約1千5百万円)注1を供与し、超音波乳化吸引装置1台及び眼科手術用顕微鏡1台を整備することにより、低所得層患者の失明防止及び眼科医療の質の向上に貢献します。

本年は、日本がODAを開始してから70年の節目に当たります。「人間の安全保障」の理念に基づき1989年に開始された草の根・人間の安全保障無償資金協力(GGP)は、教育、保健、医療、水と衛生や災害対策などの、基礎生活(BHN)分野及び「人間の安全保障」に係る緊急性が高い分野において、人々の生活向上に直接役立つ草の根レベルの事業や、人道上緊急に支援が必要な事業を中心に資金供与を行う仕組みです。我が国はこれまでフィリピンのトップドナーとして計564件のGGP事業を実施してきています。我が国はこうした草の根レベルの支援についても従来積極的に取り組んできており、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
▶草の根・人間の安全保障無償資金協力について
注1)1ドル=137円(令和5年度支出官レート)