我が国ODAを活用した「畜産卸売市場改築近代化事業」の引渡式
平成28年5月31日
![]() 寺田書記官挨拶 |
![]() 序幕式 |
![]() 農産物輸送状況 |
![]() 市場で発生するロス |
5月29日、東ネグロス州カンラオン市において、フィリピン共和国における無償資金協力(貧困農民支援)の見返り資金事業と、フィリピン農業省及び東ネグロス州カンラオン市により共同プロジェクトとして実施された畜産卸売市場の改築近代化事業の引渡式が行われました。引渡式には、当館寺田書記官、サン・ファン・農業省アグリビジネスマーケティング支援局長、カヤナン・スペイン農水産業委員会事務局長、デガモ・東ネグロス州知事、クレリゴ・カンラオン市長の他約60人の関係者が出席しました。
本件事業は、市場施設の改築を行うとともに、売りに出される家畜を取引の事前に適正に評価し、その評価額を参考に適正な取引を促すシステムを新たに導入することで、畜産取引の適正化及び効率化を促し、畜産農家の生計向上、家畜の品質向上及び当該地域の経済発展を目的とするもので、東ネグロス州カンラオン市の他4サイトと合わせて3390万8千ペソ(約78百万円)の資金が拠出されています。なお、本資金は、日本政府による無償資金協力(貧困農民支援)によって調達した肥料を、フィリピン政府が市中へ売却することによって得た「見返り資金」から拠出されています。
今回の引渡し式を行った東ネグロス州カンラオン市は、カンラオン山の麓、標高600から800mの地点にあり、サトウキビの他、水稲、野菜栽培、家畜といった水産物を除くあらゆる農産物が生産されており、品質も良い状況にあります。一方、その品質の良い農畜産物をその状態を保って運べない点が、フィリピン全土における農畜産物流通の大きな問題となっています。本件事業を契機として、畜産物のみならず農産物全般の取引の公正化、流通システムの改善が進み、安全で安心な食のサプライチェーンの構築につながることを期待します。