遠藤大使によるバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)訪問

令和7年9月5日
2025年9月4日~6日、遠藤和也大使は、コタバト市を中心とするバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)を訪問しました。遠藤大使によるBARMM訪問は、昨年6月のコタバト市および近郊地域、6月のタウィタウィ州訪問に続き、3度目となります。

日本政府は過去20年以上にわたり、ミンダナオ和平プロセスの進展を支援してきました。これまでに、日本バンサモロ復興開発イニシアティブ(J-BIRD: Japan Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)の下で、政府開発援助(ODA)により、約5億1,500万米ドル、100以上のプロジェクトを実施しています。今回の訪問において、遠藤大使は、実施中のプロジェクトに関連する式典への出席と現地視察を行いました。 

1.「バンサモロにおける有権者の意識向上及び選挙プロセスのデジタル化促進計画」による「有権者啓発パートナーシップ」発足式


9月4日、北マギンダナオ州ウピ町にて、「バンサモロにおける有権者の意識向上及び選挙プロセスのデジタル化促進計画」の活動の一環として、「有権者啓発パートナーシップ」の発足式が開催されました。 


 
式典には、フィリピン選挙管理委員会(COMELEC)アイミー・フェロリノ委員、国連開発計画(UNDP)フィリピン事務所セルバ・ラマチャンドラン常駐代表などが出席しました。

本プロジェクトは、日本政府による2億3,400万円(約150万米ドル)の無償資金協力を受け、UNDPが実施しています。多言語対応のラジオ番組、デジタル・キオスク、有権者向け教育アプリ等を活用した有権者教育活動を行うことで、女性、先住民族、社会的弱者を含む幅広い層にバンサモロ議会選挙に関する情報を伝え、選挙への参加を促すことを目指しています。

本プロジェクトでは、これまでにCOMELECの選挙関連業務のデジタル化支援として、2025年3月に衛星通信機器、サーバー、SD-WANソリューションを提供しました。さらに7月には、選挙の透明性を確保しつつCOMELECの選挙管理業務を効率化するため、選挙後に候補者が選挙資金報告書を電子媒体で提出するためのシステムを導入しました 。

遠藤大使は式典の中で、BARMMが初の議会選挙の実施という歴史的な節目を迎えるにあたって、「一票一票がBARMMの発展を築く礎となることを願っている。今回の選挙が、バンサモロの人々の希望と願望をしっかりと受け止め、明るい未来への扉を開くものとな るよう願う」と述べました。 

2.「バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域における地元で収穫された産品を使った「農場から学校へ」給食プログラム推進計画」視察


9月5日午前、遠藤大使は、北マギンダナオ州ウピ町にて、国連世界食糧計画(WFP)が実施する「バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域における地元で収穫された産品を使った「農場から学校へ」給食プログラム推進計画」の支援サイトを、WFPフィリピン事務所代表のレジス・チャップマン代表とともに、訪問しました。  


 
本プロジェクトは、(1)BARMM内の対象市町村内において学校給食プログラムの設立を行い、登校日において約1万人の児童に栄養価が高く多様な給食を提供し、(2)地元の小規模農家と学校を結びつけ、学校給食に特化したサプライチェーンを確立することを目的としています。

遠藤大使は、保護者や地域ボランティアとともに給食の調理・配膳を行い、また、学校給食に野菜を提供する地元農家との意見交換にも参加しました。


3. 無償資金協力「バンサモロ地域の道路整備及び災害対応能力強化のための建設機材供与(経済社会開発計画) 」引渡式


 
9月5日午後には、BARMM公共事業省(MPW)に対する災害復旧用建設重機の引渡式が、コタバト市のバンサモロ首相府庁舎前にて開催されました。式典には、アブドゥラ・クサイン官房副長官、ダニロ・A・オンMPW長官らが出席しました。


 
本支援は、日本政府による9億5,700万円の無償資金協力「バンサモロ地域の道路整備及び災害対応能力強化のための建設機材供与(経済社会開発計画)」に基づくものです。今回の引渡式では、10台供与予定のホイールローダーのうち、最初に到着した6台が引き渡されました。

この支援により、MPWの災害対応およびインフラ整備能力の強化が図られ、地域の社会経済発展への寄与が期待されています。今後は、ダンプトラック10台、掘削機10台、水草除去機3台も順次納入される予定です。

遠藤大使はこのプロジェクトに取り組むMPWの戦略的な視点に敬意を表し、「これら機材が、自然災害が多い日本とフィリピン両国の善意と信頼を体現するものとなることを願っている」と述べました。
 
●以下のリンクから日本政府によるバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)への協力を確認できます。

Ambassador ENDO Kazuya's Remarks at the Launch of the Partnership for Informed Voting in BARMM
Ambassador ENDO Kazuya's Remarks at the Handover Ceremony for Wheel Loaders for Disaster Response