草の根・人間の安全保障無償資金協力 「ネグロス州イロッグ町フリアン・ピー・ゴミーリャ小学校における教室整備計画」引渡式

令和4年8月23日
 

2022年8月23日、ネグロス州イロッグ町において、平成29年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「ネグロス州イロッグ町フリアン・ピー・ゴミーリャ小学校における教室整備計画」の引渡式が開催され、当館より山田三等書記官が出席しました。同式典には、イロッグ町の関係者、教育省関係者及び学校関係者が出席しました。
 
  
 
フリアン・ピー・ゴミーリャ小学校は1947年に設立された公立小学校であり、既存13教室のうち8教室は老朽化が著しく、同校の児童は、亀裂の入った壁や今にも崩壊しそうな天井の下で授業を受けており、安全な学習環境が確保されているとは言えない状況でした。また、同校が所在するイロッグ町は、町名「イロッグ」がタガログ語で「川」を意味するとおり、大きな河川に囲まれており、雨季にはしばしば洪水に見舞われていました。中でも、低地に位置する同校周辺地域では、洪水時に避難所として利用できる施設の整備が必要とされていました。
 
本問題の解決のため、本事業では、フリアン・ピー・ゴミーリャ小学校において、安全な教育環境を提供するとともに一時避難所として機能する1棟4教室を新たに整備することを目的として、イロッグ町に77,753米ドル(約855万円)注1を供与しました。本事業により、全児童の約1/3にあたる児童約100名が安全な環境で授業を受けることが可能になりました。さらに、災害時にはこの校舎は周辺住民約100名のための避難所として活用される見込です。なお、老朽化が激しい残りの4教室についてはイロッグ町の自己資金及びフィリピン教育省の予算によって整備が行われ、現在はすべての児童に安全で適切な学習環境が提供されています。
 
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、我が国はフィリピンのトップドナーとして、1989年から現在に至るまでの間に、計553件の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
 
注1)1ドル=110円(平成29年度支出官レート)