草の根・人間の安全保障無償資金協力 「コタバト市ダトゥ・アユナン小学校における教室整備計画」引渡式
令和4年9月1日

8月31日、コタバト市において、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「コタバト市ダトゥ・アユナン小学校における教室整備計画」の引渡式が開催され、新校舎1棟3教室及び備品が同校へ授与されました。
同式典には在ダバオ日本国総領事館より石川義久総領事及び当館より岡田一等書記官、また市役所、教育省及び学校関係者が出席しました。
ダトゥ・アユナン小学校は1960年に設立された公立小学校であり、その一部の校舎では壁や床も割れているなど老朽化が著しく、またその結果頻繁に雨漏りが発生しており、さらに机や椅子等の備品についても劣化が進んでいるなど児童に適切な学習環境が確保されているとは言えない状況でした。近隣では子供の安全のため、片道1時間以上離れた別の小学校へ子供を通学させる保護者がいるほどでした。
本問題の解決のため、本事業ではJ-BIRD注1の一環として、ダトゥ・アユナン小学校において1校舎3教室の建て替え及び備品整備を行うことを目的に69,287米ドル(7,760,144円)注2をコタバト市に供与しました。本事業により、同校の1年生116名がより安全で適切な環境で学業に励むことができるようになります。なお同小学校は本資金協力で建て替えたもの以外にも校舎を有していますが、そのうち老朽化が激しいものについては自己資金及びフィリピン教育省の予算によって整備を行い、現在はすべての学年の児童に安全で適切な学習環境が提供されています。
草の根・人間安全保障無償資金協力は「人間の安全保障」の確保に資するものであり、我が国はフィリピンのトップドナーとして、1989年から現在に至るまでの間に、550件以上の事業を実施してきています。こうした草の根レベルの支援についても我が国は従来積極的に取り組んでおり、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
注1)我が国は、2006年よりミンダナオ和平支援案件をJ-BIRD (Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)と総称し、紛争影響地域に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力など経済協力プロジェクトを集中的に実施しており、その総額はこれまで2億ドル以上になります。2015年6月には、アキノ前大統領の国賓訪日の際の日比首脳会談において、安倍総理大臣は、ミンダナオの永続的な和平について、フィリピンの取組への支持を表明するとともに、我が国は新自治政府設立を念頭にJ-BIRDIIの支援を進める旨述べました。J-BIRD IIとは、バンサモロ地域の経済的自立の確保に一層焦点を当ててJ-BIRDを新たなフェーズで進めるものです。
注2)1ドル=112円(平成30年度支出官レート)