草の根・人間の安全保障無償資金協力 「カリンタアン町における農業機材及び農業設備整備計画」引渡式
令和6年5月24日


5月23日、西ミンドロ州カリンタアン町において、平成30年度草の根・人間の安全保障無償資金協力事業として実施された「カリンタアン町における農業機材及び農業設備整備計画」の引渡式が開催され、当館より西村二等書記官が出席しました。同式典には、ダンテ・エステバン町長、町役場職員及び農家代表者が出席しました。



カリンタアン町では、住民の多くが農業に生計を頼っていますが、収穫後の乾燥処理が機械化されていないため、道路上に収穫した穀物を広げて自然乾燥させていました。しかし、このような方法では雨や台風といった天候に左右されるばかりか、人や車に踏みつけられてしまい、収穫した穀物が最終的に出荷できない状態になることが多くありました。このような、収穫後の乾燥処理過程における損失は収穫量の1割近くに上り、農家の低収入の一因となっていました。
本事業では、農家の生産性向上と生計改善を目的として、穀物乾燥機1台及び倉庫1棟の整備のために72,007米ドル(約800万円)注1をカリンタアン町に供与しました。倉庫内で穀物乾燥機を使用することで、農作物の適切な乾燥と保管による品質の向上が可能となり、農家の収入向上及び貧困改善に寄与することが期待されています。
本年は、日本がODAを開始してから70年の節目に当たります。「人間の安全保障」の理念に基づき1989年に開始された草の根・人間安全保障無償資金協力において、我が国はこれまでフィリピンのトップドナーとして計562件の事業を実施してきています。我が国はこうした草の根レベルの支援についても従来積極的に取り組んでおり、本事業は我が国とフィリピンとの戦略的パートナーシップを育むことにも寄与するものです。
注1)1ドル=112円(平成30年度支出官レート)