遠藤大使によるIAEA主催NUTECプラスチック国際ハイレベル・フォーラムへの出席
令和7年12月1日
11月25日、遠藤大使は、国際原子力機関(IAEA)主催NUTECプラスチック国際ハイレベル・フォーラムに出席し、閣僚セグメントにおいて以下の演説を行いました。
重要な環境問題の1つである海洋プラスチック汚染問題の解決には、科学的知見の確立とモニタリング手法の調和、効果的なリサイクルと資源としての再利用、そして、実効性のある国際的な枠組みを構築することが不可欠。
- 日本は、SDGsの達成を含む地球規模の課題の解決に貢献する原子力科学技術を重視し、この点に関する国際協力を強化。特に、NUTECプラスチックの取組を高く評価し、これまでにIAEAに対して約130万ユーロを拠出。放射線照射を用いたプラスチックのリサイクル技術の発展や、海洋プラスチック汚染に関する海洋環境監視のための機材提供・人材育成を支援し、上流及び下流の双方の面で貢献。
- 日本は、海洋プラスチック問題に関するより広範な国際協力の取組を主導してきており、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提唱し、進行中のプラスチック条約交渉にも積極的に参加。日本としては、引き続き、早期の交渉妥結に向け、積極的に議論に貢献していく。
- 日本は、プラスチック汚染に関する科学的な基盤整備を目指し、海洋マイクロプラスチックごみのモニタリング手法の調和やデータ整備を通じた国際協力を進め、その成果として、昨年5月には「アトラス オブ オーシャン マイクロプラスチック、通称アオミ(AOMI)」を公表。また、ASEAN諸国を中心に、プラスチックのモニタリング技術協力も実施。
- 日本が持つリサイクルや原子力科学技術の知見を存分に活用しつつ、IAEA及びパートナー機関と緊密に協力し、この問題の持続可能な解決に向かって取り組んでいく。
同フォーラムには、IAEAからはラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長が出席し、フィリピンからは、フェルディナンド・マルコス大統領、マリア・テレサ・ラザロ外務大臣、レナート・ソリダム科学技術大臣が出席しました。また、アジア開発銀行(ADB)から神田眞人総裁が出席しました。
(参考1)NUTECプラスチックの概要
海洋プラスチック問題に原子力科学技術を応用活用することを目的としたIAEAのイニシアティブ。同位体技術を用いた海洋プラスチックの追跡や海洋生物への影響評価、放射線の照射技術等によるリサイクル技術の確立や、これら分野におけるIAEA加盟国の能力構築等を目的としたプロジェクトを実施。
(参考2)IAEA NUTECプラスチック国際ハイレベルフォーラム関連ホームページ記事(英語)
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Remarks of Ambassador ENDO Kazuya at the International High Level Forum on NUTEC Plastics